鳥羽一郎 ツインパック

鳥羽一郎 鳥羽一郎 ツインパック歌詞
1.男酒

作詞:水木れいじ
作曲:原譲二

夢ものぞみも 故郷(ふるさと)も
今じゃ演歌の 中だけか
想いだすなぁ しみじみと
昔なじみの 路地灯(あか)り…
そんな時代も あったぜと
飲みほす今夜の コップ酒

昭和みなとの 女はョー
情(じょう)にもろくて 泣き虫で
想いだすなぁ しみじみと
雨がしょぼしょぼ こんな夜は…
忍(しのぶ)・チー坊・たえちゃんも
幸せだったら いいけれど

生きる痛みを まだ知らず
肩で風切る 若い奴
想いだすなぁ しみじみと
独(ひと)りみつめる 掌(てのひら)に…
俺は俺だと 見栄をきる
男のこころの 花道で


2.海の匂いのお母さん

作詞:田村和男
作曲:船村徹

海の匂いが しみこんだ
太い毛糸の チャンチャンコ
背なかをまるめて カキを打つ
母さん 母さん お元気ですか
案じております 兄貴とふたり

海が時化(しけ)れば 時化(しけ)るほど
カキはおいしく なるという
母さん あなたの口癖が
土鍋を囲めば きこえてきます
やさしい笑顔が 浮かんできます

遠く離れた 子供らに
海の匂いを くれた母
わたしは 手紙が下手じゃけど
母さん 母さん 黙っていても
伝わりますとも あなたのこころ


3.泉州春木港

作詞:もず唱平
作曲:船村徹

五人も伜がありながら
ひとりも船に乗るヤツが
いないと悔んで涙ぐむ
泉州春木港(せんしゅうはるきこう)の 髭おやじ
鴎相手に呑む地酒
なんで男の気持ちがわかる
ヨーホホイ ヨーホホイ ああ…

地車(だんじり)祭りの宵宮(よいみや)で
みそめて惚れて五十年
時化の日 凪の日 つれそうた
泉州春木港の 恋女房
網を引こうか 船出そか
オレを支えたお前のために
ヨーホホイ ヨーホホイ ああ…

立派な稼業といわないが
命をかけた今日までの
漁師の心をついでくれ
泉州春木港の 兄弟よ
陸(おか)で女のケツ追うて
馬鹿をみるなよ どっしり生きろ
ヨーホホイ ヨーホホイ ああ…


4.だんじり

作詞:南澤純三
作曲:中村典正

冷(ひや)酒を一ぱい 一気(いっき)に干(ほ)して
パッと清めの 塩をふる
行くぞだんじり この血がさわぐ
恋は二の次 祭りが先だ
風に法被(はっぴ)を なびかせて
町を地鳴(じな)りが ソリャーソリャー つっ走(ぱし)る

ガキのときには すがった綱(つな)を
今は気合いで ぐいと曳く
待ってこがれた 十二(じゅうに)か月(げつ)だ
熱くならなきゃ 男じゃないさ
染めた町の名 背にしょって
足が地(じ)をける ソリャーソリャー 駆(か)けぬける

秋の浜風 こなから坂(さか)へ
吹いて宮入(みやい)り やり回し
うなれ風切れ たんじり囃子(ばやし)
見てるあの娘(こ)の 心をゆすれ
汗(あせ)は男の 花吹雪(はなふぶき)
あがるどよめき ソリャーソリャー 天(てん)を衝(つ)け


5.志摩半島

作詞:里村龍一
作曲:美樹克彦

焼いたアワビに からくち地酒
酔えば聞こえる 荒波太鼓
和具の大島 前浜漁港
土地の訛り なつかしい
海女のふるさと 志摩半島

白い浜木綿(はまゆう) 金毘羅山(こんぴらさん)は
四面皆海(しめんみなうみ) 心も晴れる
カスリ模様の 真珠の筏
雲を燃やし 沈む陽が
忘れられない 志摩半島

惚れた相手を 船から投げる
天下御免の 潮かけ祭り
気立て荒いが 人情も熱い
一度食べて いかんかれ
海女のふるさと 志摩半島


6.北斗船

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

みぞれまじりの しぶきを頭から
浴びて乗り出す 噴火湾
海は荒れても 行かねばならぬ
今年六十の お袋さんに
ハワイ旅行が させたくて

沖の仕事は あの娘にゃ見せられぬ
見せりゃ嫁コに きてくれぬ
ねじり鉢巻き 外した跡を
櫛でならして 酒飲むときは
右も 左も 恋仇

派手にとび散る 鱗(うろこ)を花にみて
波の谷間で 花見酒
北の漁師も たそがれどきは
柄に合わない 人恋しさが
ゴムの軍手を つき抜ける


7.愛恋岬

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

きみが泣くから 海が泣く
海が泣くから 月も泣く
忍び酒汲む 稲取岬
傷を重ねて ああ 夢に酔う

岩にしみこむ しぶきより
咲いてはかない 悲恋花
そっと見せあう 手のひらふたつ
添えぬ運命(さだめ)と ああ 書いてある

あじのたたきに 紫蘇(しそ)の葉を
添えて差し出す 白い指
胸にひきよせ 頬ずりしても
涙切れない ああ 伊豆の宿


8.兄弟船

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

波の谷間に 命の花が
ふたつ並んで 咲いている
兄弟船は 親父のかたみ
型は古いが しけにはつよい
おれと兄貴のヨ 夢の揺り篭さ

陸(おか)に上って 酒のむときは
いつもはりあう 恋仇
けれども沖の 漁場に着けば
やけに気の合う 兄弟鴎
力合わせてヨ 網を捲きあげる

たったひとりの おふくろさんに
楽な暮らしを させたくて
兄弟船は 真冬の海へ
雪の簾(すだれ)を くぐって進む
熱いこの血はヨ おやじゆずりだぜ


9.河内一代男

作詞:泉椿魚・たかたかし(補作詞)
作曲:叶弦大

浪花生まれで 河内の育ち
渡る世間の むかい風
わての人生 逃げたら負けや
なにがあろうと とことんやるで
河内一代 おとこ道

灯りちらちら 道頓堀(とんぼり)暮れりゃ
水にネオンの 花が咲く
酔えば十八番(おはこ)の 流行りの歌を
喉をつぶして あの娘と唄う
河内一代 おとこ道

小言泣き言 背中にかくし
わてを支えて くれるやつ
そんな女房に しんから惚れた
やるぜ見ていろ お天道様よ
河内一代 おとこ道


10.風待ち食堂

作詞:新本創子
作曲:船村徹

人の世の坂 ころげ落ち
裏目裏目と 生きてきた
ふらり風待ち 港の食堂
熱い番茶を すすりながら
俺はお前を 目にとめた
いい女だと 焼きついた

ずっとここかと 聞いてみた
ずっと一人と 目を伏せた
北の風待ち 港の食堂
海が荒れたら 淋しだろね
そっとかばって やりたくて
ジャンバーを脱ぎ 抱きしめた

所帯持つよな 柄じゃない
男のら犬 そんな俺
ふらり風待ち 港の食堂
ゴムをほどいた 長い髪の
熱い思い出 もらってく
やけに厳しい 恋だった


11.港駅

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

とめないで いいのかい
行かせても いいのかい
女の胸に 問いかける
吹雪が白い 港駅
長い線路は ここでとぎれて
これより先は
風もひゅるひゅる 津軽海峡

薄情な 男には
薄情で お返しさ
女は低く つぶやいて
チロリをつまむ 港駅
長い恋路も ここで終って
これより先は
酒も手酌の 涙海峡

三ッ目の ドラが鳴る
熱燗をひっかけた
女は店を とび出して
波止場の先へ きたけれど
叫ぶ名前も 闇に呑まれて
これより先は
波も泣いてる 忘れ海峡


12.南十字星

作詞:新本創子
作曲:船村徹

飯粒で閉じた 手紙の束も
網棚を吹っ飛んだ
大波が 甲板なぐる
南十字星
船の男は やすやすと
死ぬ覚悟 できるもんだぜ

抱きたいと書いた 手紙ばかりだ
くり返し 読んでくれ
二百日 はえ縄を張る
南十字星
俺とお前の 想い火が
あの星と 漁火になる

スナップ写真 手紙に入れて
円窓を見上げれば
外国の 港が見える
南十字星
飲めばじんわり 男泣き
故里(くに)遥か 遠州灘よ


13.時化酒場

作詞:峰梓
作曲:関野幾生

女は海だ 荒れたら恐(こわ)い
荒くれ漁師も 手に負えぬ
確かに俺が 悪かった
たまたまバクチに 手を出して
首をすくめて 駈込む寺は
港はずれの 時化酒場

思いもかけぬ 高値がつけば
誰でもルンルン 気分だぜ
チョイトのはずが 気がつけば
いつか深入り ホゾをかむ
二人三人 似たよな仲間
ボヤき反省 時化酒場

嵐が凪(な)ぎりゃ またにこにこと
笑顔も千両の いい女房
心で両手 合わせても
男は口に 出さぬもの
仕方ないわさ 寝静まるまで
待って帰ろか 時化酒場


14.龍神

作詞:新本創子
作曲:杉本真人

五円札にヨ 火をつけて
廓帰りの 下駄をさがした
名代の漁師が 死んだらよ
沖に祭った 竜神の
酒の相手を しちょるわい
男の命が 欲しくばヨ
稲妻ころがせ ブリ起しだせ
大漁節で 褌しめて
嵐の寄せ場へ 越中船だ

義理の親子を さかづきで
ちぎりあっての 沖の漁場だ
番屋のくるま座 のこり炭
誰のおんなか 海を見て
紅い椿が しおれちょる
女房にしたけりゃ 網を引け
龍神あばれる 北の海はヨ
百満貫の 銭コの浪よ
やみ夜の不夜城 越中船だ

男の命が 欲しくばヨ
稲妻ころがせ ブリ起しだせ
大漁節で 龍神呼んで
嵐の寄せ場へ 越中船だ


15.昭和北前船

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

お嫁にゆくんだね
おめでとう 妹よ
きいたぜ春の 日本海
雪をかぶった 鳥海山(ちょうかいざん)が
花嫁姿に 見えてるぜ
霧の小樽と 花の新潟
結ぶ昭和の あゝ… 北前船だよ

ひとふし唄おうかね
白波が 合の手さ
盃そっと もちあげて
うたうおけさを 寒風山が
肩ふりながら きいてるぜ
恋の小樽と 酒の新潟を
結ぶ男の あゝ… 北前船だよ

仲よくするんだよ
よかったな 妹よ
泣いたぜ ここは 日本海
おれは船乗り ゆけないけれど
喜び汽笛で 届けるぜ
坂の小樽と 歌の新潟を
結ぶ昭和の あゝ… 北前船だよ


16.カサブランカ・グッバイ

作詞:内館牧子
作曲:三木たかし

私はいつも あなたに言った
別れ話は みっともないわ
ただ黙って カサブランカ
置いて行ってね ドアの前
カサブランカ・グッバイ
別れたい気持ち 白い花に
カサブランカ・グッバイ
しゃべらないのが 大人の別れ

俺はタバコに また火をつけて
お前の部屋を 見上げて揺れる
腕に抱いた カサブランカ
置くに置けない 男のずるさ
カサブランカ・グッバイ
お前に隠れて 他にも恋
カサブランカ・グッバイ
どんな女も 別れちゃ損か

俺は夜空に 花を投げ捨て
これでいいさと 小さく笑う
家に着くと カサブランカ
お前の花が ドアの前
カサブランカ・グッバイ
別れてあげると 小さなメモ
カサブランカ・グッバイ
白いさよなら あふれて揺れて


17.大阪湾

作詞:もず唱平
作曲:船村徹

春一番がやって来りゃ
太平洋から鰆(さわら)と鯛(たい)が
もどって来るぞ 大阪湾に
お前の二十歳(はたち)の旅立ちに
親父のオレが船を出す

よくみておけよ あの先が
岬の鼻だよ 向こうが淡路
我が家の庭だ 大阪湾は
お前を育てたこの海を
忘れちゃオレがぶん殴る

今日解禁だ親子酒
盃 干したら“六甲おろし”
きかせてやろう 大阪湾に
お前はこれまで世話になり
まだまだオレは世話かける


18.ジャコマン船

作詞:星野哲郎
作曲:首藤正毅

女は船だよ かわいいけれど
男にゃあぶない 乗りものだ
まさかの時には 船もろともに
沈む覚悟で乗ってこい
一網(ひとあみ)千両の ジャコマン船

母船がとどけた 汐ぬれ便り
つららのナイフで あけてみりゃ
毛蟹を見るたび あんたのかおを
おもい出すわと 書いてある
あの娘もおきゃんな ジャコマン船

幸せほしけりゃ 生命をかけろ
吹雪のむこうに 明日がある
やもめをとおした おふくろさんが
おれにおしえた 口ぐせが
きこえてきそうな ジャコマン船


19.中仙道

作詞:里村龍一
作曲:叶弦大

旅の空日暮れて 街道に
湯煙りが流れる 宿場町
遠く離れりゃ おまえの顔が
じんと旅籠(はたご)の 灯(ひ)が点(とも)る
鳥居峠の 御岳(おんたけ)さんよ
恋しじゃないか
おやじもう一杯 冷やでついでくれ
落ち葉くるくる風に飛ぶ ああ中仙道

ちぎれ雲流れて 何処へゆく
木曽駒はもうすぐ 冬仕度
杉の木立の街道 越えりゃ
今日は妻籠(つまご)の 宿(しゃく)あたり
落ち葉しぐれか おまえの声か
背中(せな)で哭いた
おやじもう一杯 冷やでついでくれ
旅の寒さが身に沁みる ああ中仙道

明日は帰ろか おまえの町へ
さすらい虫よ
おやじもう一杯 冷やでついでくれ
江戸はこれより八十里 ああ中仙道


20.流氷・オホーツク

作詞:新本創子
作曲:船村徹

オホーツクの 安宿じゃ
だるまストーブの 火もおどる
地響きは 流氷よ
このさい果てが ああ男をしごく

鍋なんか 持ってねえ
スコップの上で ボラを焼く
渡世人 流氷よ
修羅場暮しが ああ男をしごく

一生に一度だけ
厄介者(もん)はよ 笑やいい
春を呼ぶ 流氷よ
女の肌が ああ男をしごく


21.南回帰線

作詞:星野哲郎
作曲:小杉仁三

はるばるきても つきせぬものは
故郷に寄せる 恋心
トンガの風に 思いをはがれ
生身に沁みる 南回帰線

晴れれば時雨(しぐ)れ 時雨れば晴れる
きままな空に 似た女(ひと)よ
イルカが啼いて 忘れたはずの
面影誘う 白いサンゴ礁

田舎の母に やさしく頼む
ひと筆書いた 片便り
カヌーに託し 別れを告げる
船路は遠い 南回帰線

きみにはみえぬ サウザンクロス
祈れば空で 涙ぐむ
ボンゴを叩き 椰子酒汲めば
心は北へ 青い流れ星


22.兄弟酒

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

男が二人で 女がひとり
三角波だよ この恋は
酒で決めてと あの娘は言うが
兄弟酒は 荒浪こえた
祝い酒だよ 喧嘩にゃならぬ

おふくろ話に 兄貴がほろり
つられて俺(おい)らも またほろり
色気ないねと 女が嘲う
兄弟酒は 苦労をかけた
両親(おや)の噂を 肴(さかな)に更ける

ボトルにふたりの 名前を入れて
今度逢うのは いつの日か
俺はつきんぼ 兄貴はフェリー
兄弟酒は 出船の酒だ
窓に黄金(こがね)の 夜明けがゆれる


23.帰港節

作詞:鈴木宗敏
作曲:中村典正

闘い終えた 男らが
暗い波間を いま帰る
めためたに 疲れても
笑顔が こぼれるぜ
ご苦労さんねと 迎えてくれる
おふくろ港の 灯を見れば

漁場(りょうば)が 海の修羅場なら
陸(おか)はいこいの 恋ねぐら
待たせたぜ 元気かい
想いが ほとばしる
合羽を着たまま ごろねを決めた
激しい季節 もうすぐ終わる

気まぐれ海が 相手なら
稼ぎ少ない 年もある
慰めて くれるだろう
あの娘が 生き甲斐さ
岬をまわれば やさしい胸だ
花園みたいな 漁港のなかだ


24.スペイン坂

作詞:高畠じゅん子
作曲:塚本誠一郎

駐車場から でてきた 女性(ひと)は
ダイヤの ピアスも 昔のまんま
蔦(つた)のからまる 煉瓦の家が
愛の家庭に なるはずだった
マリオの店は あるだろか
君が名づけた スペイン坂
綺麗な指を 組みあわせ
俺の目をみて 話すくせ
愛しあいながら 別れわかれたね
これしかないわと 言い置いて

冷えたワインの グラスをもてば
あの日々 あの時 絵のよにめぐる
元気そうだと 確認しあう
声にださずに ほほえみだけで
たがいの「現実(いま)」に ふれないで
夢を食べてた スペイン坂
たまらず君に 手をのばし
顔を両手に つつみこむ
求めあいながら 離れはなれたね
あれから恋とは 縁がない

マリオの店も クローズか
君が名づけた スペイン坂
ことばを胸に 折りたたみ
かるく手をあげ 歩きだす
引かれあいながら 別れわかれたね
振りかえらないで 行ってくれ


25.親子船

作詞:星野哲郎
作曲:中村典正

親父が船長で 伜のおれが
網をあずかる 漁労長(ぎょろうちょう)
そら引け ぐっと引け もたもたするな
怒鳴る素振りも どことなく
似てくるもんだぜ 親子船

おまえにゃ負けぬと 粋がる親父
無理をするなと とめる俺
荒灘暮らしの 捲網船(まきあみせん)の
銹びた錨が 待ちのぞむ
根室は はるかな 波の涯て

つららを砕いて ロックで飲めば
白い吹雪の 花が舞う
二代目船長 襲名披露
そんなつもりで 北の海
男の墓場さ 悔いはない


26.山陽道

作詞:里村龍一
作曲:叶弦大

それじゃ行くぜと 背を向けりゃ
露地(ろじ)を小走り 後追(あとお)い泣いた
雨に追われて 船坂越えりゃ
やけにお前が 胸に泌む
酒だ酒だよ こんな日は
ああ街道(かいどう)に 灯(あか)りが点(とも)りゃ
旅の宿場(しゅくば)に月も顔出すヨー 山陽道

風よお前は なんで泣く
雲よ流れて 何処へ飛ぶ
俺は誠の 一文字(ひともじ)抱いて
夢があるから 夢を追う
野暮(やぼ)な野郎で ござんすが
ああ吉井川 渡れば安芸路(あきじ)
西へ流れてここは男のヨー 山陽道

宇品(うじな) 小郡(おごおり) ひとり旅
ああ見上げれば 満天(まんてん)の星
遥(はる)か夜空に 夢が燃え立つヨー 山陽道


27.母から海に

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

神戸へ寄るのは いつですか
今度はひと目 逢えますか
時化(しけ)たときには やめたくなると
くれた便りに 胸刺されつつ
母はおまえの ゆく海が
荒れないように 時化(しけ)ないように
朝な夕な 夢に現(うつつ)に
祈らぬ日とて ありません

おまえの写真に 蔭膳を
供えて感謝 しています
暑いアラビア 大好きですと
笑う姿を 心で呼んで
母はおまえの 航海が
曇らぬように 飛沫(しぶ)かぬように
空の星に 山の夕陽に
祈らぬ日とて ありません

船乗りゃ家賃も 要らなくて
気楽と人は 言うけれど
板子一枚 はぐれば地獄
惚れていなけりゃ できないことよ
母はおまえの ゆく海が
ことなきように 凪(なぎ)ますように
いつも いつも 神に仏に
もの断ちしては 祈ります


28.博多純情

作詞:星野哲郎
作曲:北原じゅん

意地の締め込み 度胸の法被(はっぴ)
これがわしらの 勲章たい
博多山笠 男の祭り
華を競って 火花を散らす
オッショイ オッショイ オッショイ オッショイ
おれもおまえも のぼせもん

緋地(ひじ)に白抜き 清道(せいどう)二文字
熱い歴史を 道しるべ
祝いめでたい 一番山に
まけてなるかと棒かき上げる
オッショイ オッショイ オッショイ オッショイ
気分天まで 持ち上がる

手塩手酌で升酒飲んで
ゆくぜ追い山 勝負山
博多山笠 炎の祭り
水は若水(わかみず) 勢(きよ)いの水が
オッショイ オッショイ オッショイ オッショイ
背(せな)で湯になる 十五日(じゅうごんち)


29.東海道

作詞:里村龍一
作曲:叶弦大

軽い野郎が もてはやされて
俺は時代の はぐれ者(もん)
鼻で笑って 憂き世を捨てりや
足も踊るよ 旅の空
野暮はよしなよ お若いの
なんて次郎長 気取ってる
清水港よ 見上げる富士に
雲がわきたつ あゝゝ東海道

腕をまわして 温める胸を
濡らすあの娘の 霧しぐれ
詫びて五十九里 袋井宿よ
此処は街道 どまん中
ああだこうだと さわいでも
過ぎた昔にゃ 戻れない
旅だ旅だよ 許しておくれ
走る雨ふる あゝゝ東海道

ちょいと待ちなよ お若いの
急ぐ旅でも あるまいし
旅は道づれ この世は情け
酒はまだかよ あゝゝ東海道


30.母のいない故郷

船村徹
作詞:新本創子
作曲:新本創子

母のいない故郷は風の村
無人駅に降りりゃ
子供にかえれない淋しさ
母さんのせいだよ
ただ時の流れにたたずむばかり

母のいない故郷は雪の村
暗い夜道走って
くぐり戸をうしろ手に閉めれば
懐かしい囲炉裏ばた
ただほだ火とろとろくすぶるばかり

母のいない故郷は春の村
かごに草を摘んで
手拭いかぶってく村人
母さんに似てたよ
ただ後姿を見送るばかり


31.海の祈り

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

果てしなき 海の彼方に
水色の やすらぎを
求めた友は 帰らない
陸(おか)には住めない 依怙地な男が
木の葉の船に つかまりながら
蛙のように 歌っていると
無線をくれた ゆかいなあいつ
あいつを呑んだ 嵐が憎い

安らかに 眠れよ友と
花を投げ 伏しおがむ
おれにも明日は 知れないが
守っておくれよ おまえの力で
オイルのしみた 形見のギター
おふくろさんに 届けるまでは
いい奴でした 男でしたと
おふくろさんに 伝えるまでは

あなたには 海があるから
いいわねと 泣いていた
港の女(ひと)を おもいだす
逃げだすつもりは さらさらないけど
海には広い こころがあって
昨日の俺が 小さくみえる
荒れるな海よ おまえに惚れた
男の夢を 奪うな海よ


32.男の港

作詞:穂積淳・結城忍
作曲:中村典正

板子一枚 生命をはった
男度胸の 海が呼ぶ
競う船出を 送ってくれる
ありがとう 浜千鳥の群よ
豊後(ぶんご) 鶴御崎(つるみざき) 男の港

踊る銀鱗 しぶきの華に
親父ゆずりの 腕がなる
照らせ男の この晴れ舞台
ありがとう 水の子の灯台(あかり)
豊後 鶴御崎 男の港

高くかかげた 大漁旗を
待っているだろう 紅椿
松浦港(まつうらみなと)は もうすぐ近い
ありがとう 黒潮の幸よ
豊後 鶴御崎 男の港